SPECIAL
TALK
08

特集記事

建設系学科出身でなくても、経験が一切なくても建設産業は誰もが活躍できる場所

建設業といえば、建設系学科を卒業した人たちの仕事。そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、近年では建設に関わる学科を卒業していない学生、中途採用でも未経験者を採用する企業が少なくありません。柔軟な発想やコミュニケーション力など、その人ならではの強みが現場の効率化や新しい価値の創出に大きく貢献しています。山口県内でもそんな方々を積極的に採用し新たな風を吹き込んでいる企業が増えています。今回はその取り組みを進めている株式会社ミヤベ様(岩国市)、日立建設株式会社様(宇部市)、株式会社コプロス様(下関市)の3社に焦点を当て、それぞれがどのように力を生かしているのか、その魅力に迫りました。

SPECIAL TALK 01

株式会社ミヤベ 代表取締役社長 宮部 智之 氏

●建設系とは異なる学科出身の学生を技術系職種で採用し始めた背景や狙い、状況を教えて下さい。

我々は地域の建設業です。最近、小中高と地元を学んで地元を愛する授業もたくさん増えてきて、地元が大好きな生徒・学生が増えています。その中で我々は地元で活躍できる人材を求めています。そういったことで地元が大好きな活躍したいっていう学生には地元建設業に入ってもらえばと思っております。
建設系でない学科の生徒が入社したのは今年度が初めてなのですが、建設系・建設系でない学生問わずに現場で活躍できています。また、中途採用ですが、異業種から入った職員が資格もしっかり取って現場で責任者として活躍できています。

●建設系以外の学科出身者のための入社後のサポート体制はありますか?

今のところ特には設けてないんですが、建設ディレクターという制度もありますので、そういった制度を利用することでより専門に近いところを深く勉強してもらうことも考えています。

●特に知って欲しい建設産業の魅力や強みとは?

建設業に関わる皆さんにわかってほしいんですが、建設業自体が「もの」を作る仕事であること、作ったものは残っていきます。残ったものに対して、地元に貢献してるんだということを感じてほしいです。

●これまで土木建築について学んだことのない学生たちへメッセージをお願いします。

先ほども申しましたが、建設業というのは「もの」を作る仕事です。作ったものは残ります。その残ったものは地元の地域に貢献しています。ぜひ地元で活躍したい方は建設業へ入っていただければと思います。
最近の建設業は、新3Kも目指しています。本当に業界はどんどん変わっています。週休2日はもちろんのこと、働き方改革に向けて色んな取り組みをやっております。働きやすい環境になっていますので、最高の建設業にぜひ就職を考えていただければと思います。

SPECIAL TALK 02

株式会社ミヤベ 工事本部土木部 志谷 萌花 氏

●建設業界の技術職を選んだ理由、入社して感じたことは?

私は職業として、ものづくりをする会社で働きたかったのですが、ただ、ものづくりをする仕事だと、作ったものが出荷されてその場に残らないことが多いと思うんですが、建設業であれば「作ったものが残っていく」という点が魅力でした。入社当初は、「物の名前を知らない、道具の使い方を知らない」ため、朝礼でも何を言われているのかが全くわからなくて、何から手をつけていいかわからないような状態でしたが、少しずつ学んでいる状況です。

●建設系学科出身の社員と一緒に働くことや会社のサポート体制で感じたことは?

私は、専門で土木を学んでいないのですが、会社では新入社員として一括りで扱われることが多く、同期の方たちと比べて専門で学んでいないんだから、これを知らなくて相手が困るといった事はないですし、上司には「入社してくれてありがとう」という気持ちで接して頂いているのが嬉しいです。ですので、工業高校を出た人たちとの差を感じることはないです。サポート体制については、メンター制っていうのがあって、1人先輩がついてくださって相談に乗ってもらえる体制だったり、人事評価制度の評価をするために、上司と定期的に話す機会があるので、そこで相談に乗ってもらったり、目標に向けてこういうことやった方がいいよっていうアドバイスがもらえたりするので、その環境にすごく助かってます。

●今後の目標、またご自身が感じる建設業の魅力とは?

自分と同じ女性という立場で、しかも専門で学んでなく、1からやっていったケースが、まだ会社にもないので、自分の道筋っていうのがちゃんとは見えてないんですけど、少しずつできることが増えて、現場で役に立っていけたらなと思いながら今は頑張っています。建設業界で働く魅力としては、もともと私は「屋外で働いてみたい」っていうことも会社を選んだ理由にあったので、中で働くよりは「季節の移ろいを感じられる」…そういうところが魅力かなと思っています。

●建設系ではない学生の皆さんへメッセージをお願いします。

専門で学んだことがなかったりすると、どうしても建設業界って昔のイメージですごくきつそうって思われるんですけど、その環境も会社の努力ですごく変わってきていると思うので、イメージだけで毛嫌いせず、1回中身を見てみてほしいなっていうふうには思います。

SPECIAL TALK 03

日立建設株式会社 代表取締役 上村 隆晃 氏

●建設系とは異なる学科の学生を技術系職種で採用し始めた背景や狙いを教えて下さい。

もともと弊社は、土木建築の専門学科を卒業した方を採用していたんですが、昨今こういう時代ですので、どの学科でも建設業に興味がある人であれば、積極的に採用するということで切り替えています。現在は、実際に現場で施工管理職をしているものがいますし、弊社の場合は取締役にも土木建築学科出身ではない者もいますので、そのあたりはもう関係なく、入社した後の頑張り次第で活躍の場は広がっていると思います。

●建設系とは異なる学科出身者のために、入社後の研修やサポート体制について特別に設けているものはありますか?

新卒者には、若手研修会という勉強会であったりとか、毎日、部内で終礼も行っていますし、そういったところでフォローはする体制を作っています。具体的には資格取得のための勉強会であったりとか、実際の仕事で役に立つポイントなどを先輩が丁寧に教えていくというような場をたくさん設けるようにしています。もう1つは、メンター制という制度を取り入れてまして、1人につき1人、基本的には違う部署の先輩が担当して、そこで日頃悩んでいること…プライベートのことや仕事のことなど何でも頼りになる先輩として相談をするような機会をつくる。そういう仕組みを取り入れてますので、安心して皆さん入社していただけると思います。

●建設系とは異なる学科の生徒に特に知って欲しい建設産業の魅力や強みとは?

魅力はなんといっても、「自分がやった仕事が誰かのためになっている」ことをすごく感じられることだと思います。例えば、人知れずインフラを支えているのが我々なんですが、夜みんなが寝静まった頃に、道にできた穴を塞ぎに行ったりとか、そういった細かいことなんですが、みんなのインフラを守るという仕事を基本的にやっているので、社会の役に立っているなということをすごく感じられることが、働く魅力の1つだと思います。基本的には、大きな構造物に携わることが多いので、建築しかりなんですが、自分でやった仕事が自分で見れて、触れて、道路であればその上を走れて、みたいなところは他にはない仕事だと思いますし、やりがいは大いに感じられるかなと思います。

●担い手不足の解消に向けてメッセージをお願いします。

今までは3Kっていう危険・きつい・汚いという、マイナスイメージが先行していたと思うんですが、昨今はデジタルの力がだいぶ普及してきて、新しい建設業をやっていこうということで、我々も非常に働く環境には意識をしていますので、昔と違って、女性も働きやすい環境づくりもそうですし、力仕事だけではなくて頭でデジタルなものを使って、いかに仕事をしていくかっていう世界観に少しずつ変わってきていますので、皆さんもぜひ前向きに考えていただければと思います。

SPECIAL TALK 04

日立建設株式会社 桂 沙也賀 氏

●建設業界の技術職を選んだ理由は?

この業界を選んだのは会社からオファーがあったからで、最終的に決めたのは家から近かったのが一番の理由なんですけど、それに加えて「地元貢献できるかな」と思ったのも理由です。実際に入社して感じることは、土木建築を学んでいないから、やっぱり他の人より専門用語を基本知らないので、そういうのを調べるのが大変だなとは思います。

●建設系とは異なる学科出身者であることが活かされた場面は?

高校と大学で簿記について勉強していたので、原価関係をするのに役立っていると思います。

●建設系学科出身の社員と一緒に働くことや会社のサポート体制で感じたことは?

自分の性格で負けず嫌いっていうのがあり「土木建築を勉強していないからできないよね」って言われるのがあまり好きじゃないので、その分すごく自分で勉強したこともありますし、あとは会社の勉強会制度などに積極的に参加してやってきました。会社はみんなフレンドリーなので、自分が分からなくて困っていたら、すぐ手を差し伸べてくれるところがいいところだと思うので頑張っていけます。今後は、今は上司にずっとついて現場をやっているので、1人で1からできるようになりたいなと思っています。

●建設業界の魅力や入社前に準備しておくことのアドバイスをお願いします。

建設業界の魅力は、自分で測量したものが形になることだと思います。入社前に準備しておくことは、やっぱ大学時代にバイトとか、人と関わることをしておいた方がいいかなと思います。

SPECIAL TALK 05

株式会社コプロス 専務取締役 宮崎 隆司 氏

●建設系とは異なる学科の学生を技術系職種で採用し始めた背景や狙いを教えて下さい。

元々は、他の企業さん同様に土木建築を学んでいる学生を採用したかったんですけども、なかなかそういった子たちが採用できなかったんです。そういう状況で、苦肉の策ではないんですが、会社を維持していくために採用数を増やしていきたくて、専門で学んでいない文系の学生たちを多く採用させていただきました。今となっては色々なバックグラウンドを持った学生たちが入社してくれたおかげで、新しいことにチャレンジしやすくなったように感じています。あとは、いろんな取り組みを進めるにあたって、いろいろな視点で意見が飛び交うようになってきましたので、その結果、会社として強くなっていく組織が作れたというふうに感じております。

●建設系とは異なる学科ならではの視点や強みが会社に役立ったと感じたことは?

施工管理の仕事をしていると、品質・原価・工程・安全などを管理していくことになってきますけれど、例えば経済を学んできた社員が施工管理の仕事をしてくれるとお金の部分の回り方などの理解がしっかりしていますので、原価をうまく合わせたりだとかいう強みもあります。今まで学んできたことか直接的に結びつかなくても、自分たちの知識をどのようにしていけば、仕事がうまくいくのかなという展開力の部分に関しては、大学で学んだ社員は、大変な応用力を持って活躍をしてくれているという実感があります。

●建設系とは異なる学科出身者のために、入社後の研修やサポート体制について特別に設けているものはありますか?

弊社では5年間でしっかりと県の工事が1人で回せていけるようなレベルの人材を揃えていこうと取り組んでいます。年次別にどういったことを学べばいいのか、コプロシアンという育成プログラムを作っていきながら、それぞれ5年目は何ができなければいけないのか、4年目では何ができなければいけないのかというのをまとめたテキストを作ってしっかり教えています。そういう意味で専門性のない方でも、しっかりと学んでいける環境ができつつあると感じております。

●担い手不足の解消に向けてメッセージをお願いします。

建設業界では、担い手不足の状況が続いておりまして、私も10年新卒採用をやっていく中で、人気のない職種だなあというのを実感しております。ただ、現状で興味を持ってくれている学生が少ないだけで、1対1のフェイストゥフェイスでしっかりとお話をしていくと、建設業の魅力、醍醐味っていうものがしっかり伝わっていくなというところを実感しております。そういった意味では、業界の魅力を伝えるというだけではなく、一歩下がって自分たちが人気のない業種にいるのだというところを改めて認識していきつつ、しっかりと人と人とのつながり、会社の中の雰囲気、そういったところも伝えていくことで、こういう人たちと働きたいな、こういう雰囲気で働きたいなっていうところをアピールしていくことで、業界全体への流入数や興味を持ってくれる人っていうのは大変増えると思っておりますので、そういった動き方をぜひ業界一丸となって、私もやっていければと思っております。

SPECIAL TALK 06

株式会社コプロス 土木部 岡 将樹 氏

●建設業界の技術職を選んだ理由、入社して感じたことは?

私自身が下関市出身で、地元のインフラを整備したいなという気持ちがあったのと、建設業をやっていく上で何千万円、何億円っていう現場を自分で動かしてみたいなと思ったからです。入社当初、専門学科を学んでいないため機械の扱いなどは完全に初めてですし、私は文系なので計算が最初苦手だったんですけど、結構この業界は計算をすることが多いので、そこが少し不利に感じたことはありました。

●自身の特徴が活かされた場面は?

現場をやっていると、たくさんの協力会社さんと関わることになりますので、そういった時に自分のコミュニケーション能力が生かされていると思います。

●入社してから建設系とは異なる学科出身者として感じたスキルのギャップは?

私は文系学科出身で、個人的に計算が苦手だと思っていたんですけど、現場の業務でも計算するということは必要不可欠ですので、そういうのを日常業務で何度も何度も繰り返しやっていくことで、だんだんできるようになってきました。

●建設系学科出身の社員と一緒に働くことや会社のサポート体制で感じたことは?

先輩や上司の方が仕事を教えてくださいますので、皆さんに教えていただいたおかげで、自分も少しずつ成長できていると思います。そういったサポート体制はこの会社はすごくできていると思います。専門学科を卒業した人じゃなくても、弊社は教育面に力を入れているのかなと個人的には思っていまして、そうやって先輩から教えていただけるっていうところで働きやすい環境だと感じています。

●今後のキャリアについて目標やビジョンは?

今、施工管理を行っているんですけど、官公庁の現場で市・県・国とありまして、国の工事の現場を1人で自分が頭になって、動かしていきたいなという気持ちがあります。

建設系学科出身でなくても、経験が一切なくても建設産業は誰もが活躍できる件!

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