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特集記事
若手技術者と語る「リアルな建設業」のいま ― 徳山高専 意見交換会レポート ―
建設業のリアルを、教科書ではなく「人」から学ぶ。そんな貴重な機会として、山口県内で活躍する若手建設業従事者(土木・建築・行政)と、徳山工業高等専門学校の学生による意見交換会が2025年12月に開催されました。 普段の授業では触れることの少ない「現場の実情」や「働く人の本音」に直接触れられるこの場では、仕事のやりがい、働き方、将来のキャリアといったテーマについて、率直で具体的な言葉が交わされました。 「建設業とはどんな仕事なのか」「自分たちの学びはどのように活かされるのか」——。学生たちは一つひとつの対話を通じて、自身の将来像をより具体的に描き始めていきます。現場で働く若手たちのリアルな声に触れたとき、学生たちは何を感じ、どのような気づきを得たのか。対話の現場から、その一部をお届けします。
SPECIAL TALK 01
「建設業って実際どう?」率直な疑問からスタート
今回の意見交換会には、土木施工管理(インフラ整備)、建築施工管理(建物づくり)、公務員(土木職/行政)といった多様な立場の若手技術者が参加しました。
学生からは、「仕事はきついですか?」「休みはちゃんと取れますか?」といった率直な質問が投げかけられます。
これに対し、若手技術者からは「現場ごとに大変さは違うけど、今は休みも取りやすくなっています」「思っているよりチームで動く仕事です」といったリアルな声が返されました。
対話は終始リラックスした雰囲気で進み、会場には笑いも生まれながら活発な意見交換が行われました。
SPECIAL TALK 02
「やりがい」と「大変さ」その両方を語る
若手技術者たちは、建設業の魅力だけでなく、現実も率直に語っていました。
●天候に左右される仕事であること
●責任の大きさ
●現場ごとに条件が異なる難しさ
一方で、それ以上に語られたのがやりがいでした。
「自分が関わったものが何十年も残るのが魅力です」
「完成したときの達成感は、他の仕事ではなかなか味わえないと思います」
インフラや建物という形に残る仕事ならではの価値が、学生に強く伝わっていました。
SPECIAL TALK 03
学生の視点が変わる瞬間
対話を通じて、学生たちの意識にも確かな変化が見られました。
「授業で学んでいることが、実際の現場とつながった」「建設業が具体的な進路の選択肢として見えてきた」といった声が上がり、これまで知識として捉えていた内容が、仕事として立体的に理解され始めた様子が印象的でした。
特に、現場での具体的な業務内容や一日の流れ、チームでの役割分担などを聞くことで、教室では見えにくかった「働くイメージ」が一気に明確になったという学生も多く見られました。
また、公務員(土木職)からは、「公共事業として地域を支える仕事に関われるのが魅力です」という話もあり、インフラ整備や防災といった分野で社会に貢献できる仕事の意義が共有されました。
これにより、建設業は民間企業だけでなく、行政という立場からも関われることへの理解が深まり、進路の選択肢が広がるきっかけとなりました。
対話の終盤には、学生からより踏み込んだ質問も増え、単なる興味関心から一歩進んだ「自分ごと」として捉え始めている様子がうかがえました。今回の意見交換は、将来を具体的に考えるための大きな一歩となったといえます。
SPECIAL TALK 04
若手だからこそ伝えられるリアル
今回の登壇者は、いずれも現場の第一線で活躍している若手世代。学生と年齢が近いからこそ、距離感の近いリアルな対話が生まれていました。
そのため、
●就職活動のリアル
●入社後に感じたギャップ
●最初に苦労したことや乗り越え方
といったテーマについても、飾らない言葉で語られたのが印象的です。
例えば、「最初は分からないことばかり。でも周りが教えてくれる環境でした」「現場に出て初めて気づくことも多かったけど、一つずつ覚えていけば大丈夫」といった声からは、未経験からでも成長できる環境があることが伝わってきました。
また、仕事を進めるうえで重要となるコミュニケーションについても、「コミュニケーションは働きながら身についていきます」「最初から完璧じゃなくていい。少しずつ関係を築いていくことが大切」といった実体験に基づくアドバイスが共有されました。
こうした、経験者だからこそ語れるリアルは、学生にとって非常に具体的で、自分自身の将来を重ね合わせながら聞くことができる内容となっていました。
特に、「最初の不安は誰もが通る道である」というメッセージは、これから進路を選択していく学生にとって大きな安心材料となり、建設業への心理的ハードルを下げるきっかけとなっていました。
SPECIAL TALK 05
建設業の、これからを担う世代へ
建設業界は今、働き方改革の推進やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展など、大きな変化の渦中にあります。長時間労働の是正や生産性向上、ICT技術の導入による施工の効率化など、これまでの常識が少しずつ変わり始めています。
そうした中で求められているのが、これから業界に入ってくる若い世代の新しい視点や価値観です。従来のやり方にとらわれない発想や、デジタル技術への柔軟な対応力は、これからの建設業にとって欠かせない力となっています。
今回の意見交換会では、現場で働く若手技術者たち自身も、業界の変化を実感しながら日々仕事に向き合っていることが語られました。「これからの建設業はもっと変わっていくと思う」「新しい技術を取り入れながら、自分たちの世代でより良い環境をつくっていきたい」といった前向きな声も聞かれ、業界の未来に対する期待が感じられる場面もありました。
この意見交換会は、単に業界を知るための場にとどまらず、「これからの建設業をどのように担っていくのか」を考えるきっかけとなる場でもありました。学生にとっては、自分たちが将来関わるかもしれない業界の「今」と「これから」を知る機会に。そして若手技術者にとっても、次の世代へ想いを伝えることで、自身の役割を再認識する機会となっていました。建設業の未来は、こうした世代間の対話の中から、少しずつ形づくられていきます。
建設業は、話を聞くことで一気に身近になる。
今回の意見交換会は、学生にとっては将来を具体的に考えるきっかけに、
若手技術者にとっては自身の仕事を見つめ直す機会となりました。
山口県の未来を支える建設産業。その担い手は、こうした対話の中から着実に育まれています。
若手建設業従事者との意見交換会 (R7.12.11徳山工業高等専門学校)